東京メトロ東西線沿線の野鳥の楽園、行徳鳥獣保護区。
行徳鳥獣保護区ってどんな場所?
市川市の東京湾寄りにある約56ヘクタールの人工湿地帯です。1979年に県指定の鳥獣保護区に指定されています。東京湾は高度経済成長期に埋め立てや開発が急速に進み、自然環境はたちどころに失われていきましたが、完全な消失を避けるため1975年に人工的な湿地帯を造成しました。ここ行徳鳥獣保護区では一年通して多くの野鳥が飛来し、湿地帯特有の生物が多数生息する自然環境が形成されています。
ここは人工的な保護区のため、保護区ができた当初は木一本すらないただの埋め立て地が広がっていたといいます。初めは行政と協力し池を作り、生き物の力を借りて水を浄化しながら水生生物を増やし、水鳥が飛来できる環境を作りました。そして草木が自然に育つまで環境が良くなり年間100種前後の野鳥が確認できるほどになりました。
湿地の周辺は住宅街や工場が広がる東京都心のベッドタウンで、市民と自然が触れ合う場所として機能しています。湿地は平常時は立ち入り禁止ですが、周辺に遊歩道が整備されておりそこから湿地の様子を確認することが可能となっています。
東京ディズニーリゾートから車で約10分の場所らしい。
アクセスですが、ここ行徳鳥獣保護区の最寄り駅は東京メトロ東西線「行徳駅」とJR京葉線「市川塩浜駅」となります。行徳駅から約2kmとそこそこ近いのはともかく、東京メトロ沿線にあるというのが面白いですね。
行徳駅が最寄り駅となりますが今回は市川塩浜駅→行徳鳥獣保護区→行徳駅ともう一つの最寄り駅である市川塩浜駅から行くルートで向かっていきます。
行徳鳥獣保護区に行こう
京葉線の市川塩浜駅にやってきました。当駅は各駅停車しか停車しないため注意しましょう。ここから行徳鳥獣保護区まで約3kmの道のりとなります。
駅前です。駅周辺は工場や倉庫ばかりで住宅はほとんどなく、市川塩浜の利用客は京葉線の中でもワーストクラスとなっています。
因みに徒歩5分程の場所にAmazonの物流倉庫があります。日本国内で最も歴史が長いフルフィルメントセンター(Amazon独自の配送センター)のようです。
駅前から国道357号線「湾岸道路」に出ます。この道路の向こうにある首都高速湾岸線を挟んだ場所に、目的地である行徳鳥獣保護区があるのですが、遊歩道の出入口が遠い場所にあるので回りこまなくてはなりません。
車通りが多いのに対し、人通りはほとんどありません。
市川塩浜駅から約西に1km、塩浜交差点です。首都高速の下をくぐります。
首都高速の下をくぐった先、景色が変わった。
市川塩浜駅から約2km、ようやく住宅街である塩浜団地が見えた。でもここは市川塩浜駅よりも東京メトロ東西線「南行徳駅」の方が近い。
団地を進むと急に自然豊かな場所が姿を現した。ここは・・・?
川沿いに遊歩道が伸びている。ここが目的地である行徳鳥獣保護区の出入口であってる?
看板に行徳野鳥観察舎と書かれている。この先に進んでみるか。
歩道脇に花が咲いている。この近辺は自然と無縁の場所が多いためいつもより綺麗に見えます。
遊歩道を進みます。人通りは多めでなかなか賑やかです。
ここは保護区の出入口のようです。ここが今回の目的地である行徳鳥獣保護区で間違いないようです。
平常時は立ち入り禁止ですがイベント時などに解放され立ち入りができるみたいです。
扉の先にはどんな世界が・・・。
保護区は立ち入り禁止であるものの、遊歩道の一部からは保護区が見渡せます。この光景からは信じられないような話ですが、ここは人工的な湿地であり保護区ができた40年前、当初は木一本すらない土地が広がっていたといいます。後に草木が育つほどの環境が整い、現在の姿になりました。
水辺からカメが顔をのぞかせていました。
湿地の向こうに市川塩浜駅周辺の建物が見えます。本当にここ、人工的に作られたものとは思えない。
この地域一帯は水鳥が多い事で知られ、この地域が開発される前に確認できた水鳥は260種以上。国際的にも有名な鳥類生息地だったと言われています。しかし都市化に伴い水鳥の生息地である干潟や湿地が姿を消していきました。そこで千葉県は干潟や湿地を人工的に造成し、この区域を鳥獣保護区に指定し、野鳥をを保護していくことにしました。これが行徳鳥獣保護区の始まりなのです。
行徳野鳥観察舎、交流・憩い・学習の館「あいねすと」。野鳥観察機能に加え、行徳地区の情報発信基地としての役割を持つ施設です。
遊歩道をさらに先に進んでいきます。
住宅街に出ました。どうやらここが行徳鳥獣保護区の遊歩道の終わりのようです。
ここまで来ると東京メトロ東西線「行徳駅」からの方が近いため、帰りは行徳駅に向かうことにします。
福栄公園。カラスがいっぱいいた・・・・。
行徳駅周辺は閑静な住宅街で東京都心のベッドタウンとして機能しています。行徳駅から東京メトロ東西線に乗れば東京都心部まで約20分程で行けてしまうからです。
たたその利便性と引き換えに東西線の混雑率は首都圏でもワーストクラスを記録しています・・・。通勤している人お疲れ様です。
この辺りの地名は行徳駅に近いため「行徳駅前」です。駅前がどこまで駅前なのか疑問ですが。
東西線の高架が見えてきました。東西線は地下鉄なのですが、千葉県寄りの郊外にあたる区間はわざわざ地下に電車を通すよりも地上に建設した方が安上がりということなので地上を走っています。
そして行徳駅でゴールです。行徳鳥獣保護区の最寄り駅が当駅となります。因みに当駅に東西線快速は止まりませんのでご注意を。
当駅から西船橋駅まで3駅、大手町駅まで11駅といった好アクセスが魅力です。
まとめ
行徳鳥獣保護区は都市化に伴い失われた自然環境と生き物の生息地を確保するために造成された、人工的な湿地です。湿地の中に立ち入ることは通常できませんが、遊歩道の一部からその自然豊かな湿地の様子を覗くことができます。湿地に飛来する野鳥の姿を見ることができるはずです。
生き物の大切な生息地としてはもちろん、人と自然のふれあいの場としての役割を持っています。周辺には工場や倉庫、住宅と人工物が多いながらも豊かな自然を保つ重要な場所といえるでしょう。東京に近いにもかかわらず開発されずに残されたこの場所を大事にしていきたいですね。
東京メトロ沿線でこのような自然が育まれているとは・・・。
最寄り駅
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