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市川市の国府台天満神社で受け継がれる、悪霊を防ぐ国府台の辻斬り。

国府台の辻斬りってナニ?

 

東京都江戸川区の隣、江戸川を跨いだところにある千葉県市川市の国府台地区で行われる、悪霊や悪疫が集落に侵入するのを防ぐ民俗のことです。

 

辻斬りと聞くと武士などが町中などで通行人を切りつける物騒なものをイメージしてしまうかもしれません。辻斬りと言いますが国府台の辻斬りはそのような恐ろしいものではなく、各村の出入口に当たる四隅の辻(十字路だと思われる)を霊力によって悪霊などを遮断することいいます。

 

辻斬りで遮断する方法は地域によって異なる方法がとられています。千葉県の北部では大蛇を作ってその呪力によって悪霊などを追い払い、千葉県の南部では注連縄(しめなわ)を道に張る方法がとられているようです。

 

千葉県北西部に位置する市川市では大蛇を作る方が用いられ、国府台の辻斬りは毎年1月17日に市内にある国府台天満神社の境内で行われます。

 

国府台の辻斬りとはどのようなものなのか、まず藁(わら)で2メートルほどの大蛇を作り、お神酒(みき)を飲ませて魂入れをし、町の四隅(東西南北)にある木に頭を外側に向けて結びつけます。大蛇は翌年まで雨風にさらされながら悪霊や悪疫を払い町内の安全のために目を光らせるのです。

 

 

悪霊や悪疫を遮断する「辻斬り」だ。形あるものを斬るのではない。


 

市川市では国府台地区と国分地区で盛んに行われていたようですが、市内の都市化とともに次第に行われなくなり、今では国府台の辻斬りを残すのみ。この行事を来世に伝えるために地元の辻斬り保存会によって行事が現在まで継承されています。

 

今回はこの国府台の辻斬りを見に行きたい…のですが年に一度、1月17日にしか行われないようなので辻斬りが行われる国府台天満神社に行きます。神社の雰囲気や景色を伝えるだけとなってしまいますがご了承ください。

 

 

 

国府台天満神社に行こう

 

 

最寄り駅となる「矢切駅」です。北総線の駅でございます。国府台天満神社は市川市にありますが、市川市の「国府台駅」よりも隣接する松戸市にある矢切駅からの方が近いです。なので今回は当駅からの出発となります。国府台天満宮まで矢切駅から約1.2km、京成線「国府台駅」から来ると約1.8kmです。たかが600m、されど600mなのです。

 

ちなみに矢切駅の電車の本数は日中1時間3本と少ない。江戸川越えたらすぐ東京なのにね。

 

 

矢切駅の改札外には一隻の舟が展示されている。これは千葉県松戸市と東京都葛飾区の間を流れる江戸川を舟で渡る「矢切の渡し」に使われていたもののようだ。矢切の渡しとは江戸時代初期、地元民専用に耕作や対岸の農地への移動手段、日用品購入、寺社参拝などの目的に設けられた渡し舟である。現在も江戸川で観光名所として渡し舟が行われているのだ。

 

矢切駅が松戸川の矢切の渡しの最寄り駅だが、当駅から船着き場まで約2kmある。松戸側からは距離があるため、対岸の東京側にある柴又駅から降りて約800mほど歩き、そこから矢切の渡しを往復利用するのが一般的のようだ。

 

 

駅前です。人通り、車通りとともにそこそこあります。

 

 

北総線から京成線を経由し、都営浅草線で日本橋まで最速25分。当駅から日本橋駅まで片道688円(IC優先)。乗り換えなしで行けるため当駅から都心までのアクセスは良い。

 

 

民子と野菊と矢切の渡し。これは夏目漱石が絶賛したという小説で少年の政夫と従姉の民子の淡い恋を描いたものだという。この作品は千葉県松戸市矢切が舞台のようだ。

 

重箱の隅だが看板の右に「初恋のまち・やきり」と書いてあるが「やぎり」ではなく「やきり」となっている。間違いではないのかと思うがこの辺りは公称地名等が「やきり」となっているためこちらが正しい。

 

駅名やバス停、矢切の渡しが「やぎり」と読ませているため、濁音で発音されることが多くなったらしい。

 

 

駅前をだいぶ見たしたので改めて国府台天満神社を目指すことにする。駅前から千葉県道1号線「松戸街道」を南下。南下すると徒歩5分程で松戸市から市川市に入る。

 

 

見慣れたコンビニのファミリーマートがあるが、いつもの黄緑色と水色ではなく緑色の単色だ。なんで色が違うんだろう?

 

これは地域の「景観条例」等によるもので派手な色の看板で周りの風景を乱さないようにしてください。という決まりでこのファミリーマートを周りの景色に調和させているらしい。

 

 

先ほどのファミリーマートの向かい側には国府台緑地と呼ばれる樹林地が広がっている。住宅街のど真ん中にありながらも自然豊かな場所として、散策スポットとして親しまれているようだ。この国府台緑地の景観を壊さないようファミリーマートが緑色になっていると思われる。

 

特に京都や奈良などは規制が厳しく、チェーン店の色違い看板が多く見られるとのことだ。

 

 

矢切駅から徒歩10分。もう少しで着くだろう。

 

 

松戸街道から外れ住宅地の中へ。江戸川に向かって西に歩く。

 

 

眼前に広がるネギ畑がなんだかノスタルジック…。


 

 

住宅地を歩き、坂を上った先に見えたものは…。

 

 

はい、ということで国府台天満神社に到着です!!

 

こちらの建物は拝殿でしょう。少し中を見てみましょうか。

 

 

失礼しま〜す。拝殿の中はどこか懐かしい、田舎の家のような佇まいだ。

 

 

境内にある木々が癒しの空間を作り出す。辺りも閑静な住宅街であるため、実にいい。

 

 

このケヤキの木は市の保存樹木に指定されている。樹高は16mあるらしい。

 

 

看板が立っているな、どれどれ。

 

御知らせ

 

此(こ)の神社は天満宮と称します 祭神は古来より名高い菅原道真(すがわらのみちざね)公であります 向学の徒宜しく御信仰あらんことを

 

氏子一同

 

市川市民俗文化財 辻切り

 

一月十七日 行事として天満宮境内で行います

 

国府台天満神社は天満宮(菅原道真を祭神とする神社)であること。この天満宮は全国各地にあります。菅原道真は日本の平安時代の貴族で、学問の神として親しまれているようです。

 

そして国府台の辻斬り行事はやはり1月17日と書かれていますね。

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・来年か。(訪問時は2月でした)

 

 

後の話ですが、藁の大蛇は北総線「北国分駅」を最寄りとする市川歴史博物館にて実物を確認することができました。限られた日でしか見ることのできない年間行事の実物を展示する博物館は、後世に伝えるにあたって重要な存在ですね。

 

まとめ

 

国府台の辻斬りは国府台天満神社の境内で年に一回、1月17日に行われる民俗行事です。辻斬りは切りつける辻斬りではなく、呪力によって霊力や悪疫を遮断することをいいます。市川市では盛んにおこなわれていたようですが時代の流れとともに廃れ、今ではこの国府台の辻斬りのみとなってしまいました。

 

ちなみに獅子舞もあったようです。しかし獅子舞の継承者が限られた相続者しかいなかったこと、社会情勢の変化などから昭和13年を最後に継承が途絶え、なくなってしまったようです。

 

 

年に1回、辻斬りは1か所と実際に見に行くにはちと厳しいかも。


 

 

 

最寄り駅

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